年齢を重ねるごとに歯のトラブルは増えて行きます。何事も物事が起こってから後悔しては手遅れです。お口の中も同じで後悔しないようにしたいですね。私たちは毎日多くの患者さんのとお話をします。その中で、若い年齢で歯を失うことになった時、入れ歯は高齢者のイメージがあるから、まだ入れるのは抵抗がある・・・と言われることが多いです。どうしてそう感じるのか?それは、日本人は80歳の時の残存歯数が平均で10~15本だからです。本数が少なくなればなるほど、お口の中のトラブルが増え、入れ歯に頼ることが増えてきます。
先進国の中で、予防歯科が有名なのがスウェーデンです。スウェーデンでは歯医者は治療に通う場所ではなく予防する場所なのです。そのため、80歳の時の残存歯は平均で20本です。この差の理由は、日本とは違いスウェーデンではほとんどの人が定期検診を受診しているからです。日本とスウェーデンでは2倍近く残存歯数に差があります。
歯を失う本数が増えたら
- しっかり噛むことができない
しっかり噛むことができないと、丸呑みになってしまい消化器官に影響を与えるので、身体に負担がかかります。
- 噛み合わせが悪くなる
歯がなくなりスペースができると残った歯が移動してしまい、噛み合わせが悪くなります。噛み合わせが悪いと食事に影響が出る、体のバランスが崩れやすくなる、転倒が増えるということが起こります。
- 脳の働きが衰える
噛む回数が減ると脳への刺激が減り、脳の働きが衰えます。
- 発音障害を引き起こす
歯に隙間ができると空気が抜けやすくなることで発音しにくく、喋りにくくなります。
- 見た目が悪くなる
歯が見える時の見た目が損なわれ、話すときや笑う時に他人の目を気にする回数が増えます。
- 老け顔になる
歯がないと頬が弛みしわが増えるので老け顔になります。さらに、歯がないと噛みにくくなるので、噛む回数が減ります。そうすると頬や口周りの筋肉が低下していき、頬の位置が下がっていきます。
- 他の歯がもろくなる
歯の本数が減っていくと、残った歯への負担が増えて他の歯の寿命が縮まります。
- 治療費が嵩張る
1本ならまだ高額になっていくことは少ないですが、失う本数が増えるとその他への歯の影響が出始めます。そうすると治療する本数が増え予防的に歯科に通っているよりも治療費がかかることになります。
このように、お口の健康は心身の健康に関わってくることがわかります。歯がないまま放置しておくことによって、かみ合わせが崩れ、将来的に多くの歯を失ってしまう可能性が高くなります。また、歯だけでなく身体にも影響を及ぼすことで、将来の生活が変わってくることとなります。